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EYCKを立ち上げた理由
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EYCKを立ち上げた理由

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皆さんはじめまして。今回が初めてのブログ投稿となります。

初回はなぜ我々が「EYCK」というブランドを立ち上げたのか、その経緯についてお伝えさせて頂きたいと思います。

 現在は、EYCKの運営企業である小塚毛織()で社長をしている私ですが、約15年程前は東京のテキスタイルコンバーターで営業として働いていました。その営業先で、テキスタイル(生地)メーカー「カナーレ」でテキスタイルデザイナーをしている足立さんと出会いました。

足立さんは海外の有名プレタブランドや国内のコレクションブランドなど、数多くの著名なアパレルブランドやアーティストにテキスタイル商品(カナーレツィード)を提供しており、当時から既に有名なテキスタイルデザイナーでいらっしゃいました。

 初めて足立さんの作るテキスタイルを見たとき、社内に山のように積まれているテキスタイル商品とは大きく異なり、何か“特別な”パワーを感じ、驚きとワクワクで感情を大きく動かされたことを鮮明に覚えています。

(足立さんの作る色鮮やかなカナーレツイード)

 ただ、当時新人だった私はその特別な商品を、どこのアパレルブランドが使うのか?全く想像がつかないというのが正直な感想でした。ちょうどその頃、ある大手アパレル企業のブランドを担当することになり、興味を引くためにと足立さんのデザインしたテキスタイルも一緒に持ち合わせプレゼンをしてみることにしました。

 色々な商品を見せた中で、興味を引くために、と持っていた足立さんの生地がアパレルデザイナーの目に止まり、最終的に採用されることになりました。この商談が、私が初めて自身で受注した商品となり、その後もそのアパレル企業様には毎シーズン使用して頂いています。

 新人だった私には商品知識や提案力も無く、ただ見て貰っただけのカナーレツイードでしたが、アパレルデザイナーから「これ凄くいいね!」と高い評価を受け、その後も継続的に使用してもらえたことは、足立さんの作るカナーレツイードという生地が持つポテンシャルの高さを改めて実感できた大きな出来事の一つでした。

 その後、足立さんとは一緒に沢山のモノづくりを幾度となく繰り返しながら、足立さんのモノづくりに対する考え方、技術を少しずつ理解していきました。お仕事をご一緒し、カナーレツイードをより深く理解していくなかで、足立さんには後継者がいないこと、そのために長い年月をかけて築き上げた技術がこのままでは失われてしまう可能性があることに大きな危機感を覚えるようになりました。また、それは我々が拠点を置く“尾州”という日本最大の織物産地にとっても大きな損失になってしまうと感じるようになりました。

 

 (尾州地域に流れる木曽川)

木曽川は糸・織物の染色に適した水質で、養蚕に必要な桑畑や綿花畑を育む尾州織物産地の産みの母です 

 

 このような経緯から、足立さんの“モノづくり技術”と織物産地としての“尾州の伝統”を次世代に引き継ぎたいという気持ちが大きくなり、この度「EYCK」というブランドを設立するに至りました。

 EYCKの商品は足立さんの作るカナーレツイード生地を使用し、商品企画を行っています。私が初めて足立さんの生地を見たあの時の「ワクワク」を、皆様にも商品を通じて感じてもらいたいと思います。

(私の師でもあり、EYCKの原点でもある足立さん)