日本最大の織物産地「尾州」について
みなさんこんにちは!今回は私達が普段モノづくり拠点としている「尾州産地」についてお伝えしていきたいと思います。
愛知県といえば味噌カツ、味噌煮込み、ひつまぶしなど独特な食文化や自動車メーカーのトヨタ?が有名かと思います。もしかすると、名古屋市が愛知県にあるという事を知らない人もいるかもしれません。(笑)
実は愛知県北西部に尾州産地という、主に毛織物を中心に様々な原料を使用したテキスタイル商品を生産している織物産地があります。その歴史はとても古く、イタリアのビエラ、イギリスのハダースフィールドと共に世界三大織物産地と称されており、現在日本の毛織物の約7割を尾州で生産しています。
一級河川である木曽川の、糸・織物の染色に適した水質や、養蚕に必要な桑畑や綿花畑を育む、肥沃で温暖な濃尾平野の気候風土をもとに、日本最大の織物産地として発展してきた歴史があります。
世界の様々な場所にある織物工場では、主にテキスタイル商品になるまでの生産工程(紡績・撚糸・染色・織布・整理・補修)を一貫で同一工場内にて生産していることが多い中、尾州産地ではテキスタイル商品になるまでの生産工程を、数ある加工工場でそれぞれの特異技術を活かした加工の掛け合わせにより商品を作り上げています。その加工工程の掛け合わせは無数にあり、多品種にわたり独創性の高い商品をデザインして小ロットで作成できる世界でも数少ない生産背景を有しています。
一方で、分業制によるコスト高の生産背景に対し、東南アジアを中心とした一貫生産を得意とする生産コストや人件費の安い織物工場にシェアを奪われ、生産規模は年々縮小しています。より縮小が進んでしまえば、分業生産であるため特異技術も徐々に失われ海外の商品との差別化が難しくなり、尾州産地の衰退がより加速していきます。
また、分業生産の中で工程の一つを担っている加工工場が欠けてしまうと、テキスタイルの生産自体が出来なくなる可能性もあり、永年培ってきたこの地ならではのモノづくりが途絶えてしまうかもしれません。
加えて、技術者の高齢化の問題も有ります。海外との価格競争により加工工賃は何十年も変わっていないこともあり、工場を運営していくのに十分な対価を得ることが難しくなってきています。特に、旧式織機であるションヘル織機を活用している織物工場は、設備の減価償却が済んでいる高齢の熟練職人が年金受給を受けながら運営するところも少なくありません。この熟練職人も年々減ってきており、次世代に技術を承継していくことが難しくなってきています。
尾州のテキスタイルを私達なりの形でプロモーションすることによって、この産地で生産されるモノやモノづくりを、尾州産地と共に将来にわたり発展させていきたいという思いがあります。これから、EYCKを通じて多くの方々に、尾州のモノ作りの魅力を届けていきたいと考えています。まずは、オンラインストアや尾州のEYCK Shopにお越しいただき、我々の商品ラインナップを見て頂ければと思います。